会社移転に伴う、社会保険の手続きの流れ

会社移転前後には、取引先や銀行等との各種事務手続きが発生します。

中でも社会保険関係の手続きは、社員の生活に関連する部分もあるため、確実な対応が必要となります。会社移転の手続をどのように進めたらよいかと、不安になる方もいるでしょう。

今回は、会社移転に伴う社会保険関係の各種手続きの流れについて解説します。

目次

1.社会保険の変更手続きを行う前の準備

社会保険の変更手続きを行う前の準備
社会保険の手続きを行う前に、事業所の移転届出が必要となります。

個人事業主で青色申告の承認を受けている場合には、所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書を、新しい事業所を管轄する税務署と旧事業所を管轄する税務署の両方に提出する必要があります。

その際、マイナンバーと本人確認書類の提出を求められるため、事業主の住所変更が伴う場合には、先に市区町村役場の窓口で転居届の手続きを行った上で、新住所が記載された本人確認書類を用意することになります。

また、控用の届出書に税務署の収受日付印を押してもらったものが事業所移転の証明となるので、届出書は2部作成することになります

法人経営の場合には、本店所在地を管轄する法務局へ、本店移転登記申請書を提出する必要があります。

その際、本店住所の変更を決定した際の株主総会議事録、株主リストや取締役会議事録を添付する必要があります。

添付書類は事前にコピーを用意した上で、原本とコピーの確認を受けた後で原本の返却を受けることになります(原本還付の手続き)。

移転後の会社本店所在地が、移転前の本店所在地と異なる法務局の管轄の場合には、新旧両方の所在地の法務局に登記申請を行うことになり、登記手数料も2件分発生することになります。

登記申請は、事業所の住所を変更した後2週間以内に行う必要があるほか、登記完了まで2週間程度かかるため、早めの手続きが大切となってきます。

所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書の控や、法人登記変更後の登記事項証明書が、社会保険の変更手続きを行う際に必要となります。

2.社会保険の変更手続きの流れ

社会保険の変更手続きの流れ
事業所の移転手続きが完了した後は、いよいよ社会保険の変更手続きです。

郵送や電子申請によって手続きを行うこともできますが、関係機関に出向いて担当者と内容を確認しながら手続きを進めることもできます。

労働保険の手続き

まず、労働保険の手続きですが、新しい事業所を管轄する労働基準監督署へ労働保険名称・所在地等変更届を提出します。

雇用保険の手続きの際に、労働保険名称・所在地等変更届の控が添付書類の一つとなるので、先に労働保険の変更手続きを行う必要があります。

異なる都道府県に事業所を移転する場合は、新・旧両方の労働基準監督署へ届出を行うことになります。この場合、旧事業所としての労働保険料を確定するため、労働保険確定保険料申告書を同時に提出する必要があります。

また、新所在地では労働保険概算保険料申告書を提出することになります。複数の事業を運営している場合には、労働保険継続被一括事業名称・所在地変更届を、支店を管轄する労働基準監督署に別途提出する必要があります。

雇用保険の手続き

新しい事業所を管轄する職業安定所に対して、雇用保険事業主事業所各種変更届を提出します。

管轄の職業安定所が変更になる場合には、雇用保険の事業所番号が変更になります。ただし、従業員の雇用保険被保険者番号は変更になりません。

健康保険・厚生年金保険の変更手続き

事業所の移転から5日以内に、旧事業所を管轄する年金事務所に適用事業所名称・所在地変更(訂正)届を提出します。

健康保険・厚生年金保険料を口座引落にしている場合には、新事業所を管轄する年金事務所への口座引落手続きが必要となります。

都道府県をまたぐ事業所所在地の変更の場合には、保険料率の変更が伴うため、給与計算時は注意が必要です。また、事業主と従業員の保険証が差し替えとなるので、新しい保険証が届いたら旧保険証を年金事務所に返却する必要があります。

なお、従業員5名未満の個人事業主の場合には、個人ごとに国民年金や国民健康保険の変更手続きを行うことになります

手続きの期限ですが、

  • 労働保険・雇用保険は事業所の移転の翌日から10日以内
  • 健康保険・厚生年金保険は事業所の移転から5日以内

と定められていますが、本店所在地変更の登記手続完了まで時間がかかるため、実際には登記完了後に手続きを行っているケースが多いようです。

3.まとめ

ご紹介した会社移転に伴う社会保険の手続きは、社会保険労務士に手続きを依頼することもできますが、ご自身で手続きを進めることも可能です。

書類の作成方法は、提出先で教えてもらうことができますし、厚生労働省や日本年金機構のホームページ等に記載例が掲載されています。

提出書類は事前に作成できるので、会社移転前に準備をしておくと手続きがスムーズになるでしょう。

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